保険適用でも白い歯にできるのをご存知ですか?
2020/1/18公開 (2020/7/28更新)
保険治療を希望して銀歯を入れたけど、「思ったより目立って気になる!」
そんな経験はありませんか?
保険制度では、ある程度以上進んだ虫歯は、金属で修復するよう決められています。 しかしここ数年で、保険でできる白い被せ物が一部認められ、保険でも白い歯を入れられるケースが増えてきています。
また、白い詰め物も改良が進み、金属を入れなくてもいい症例が増えています。
現在の保険制度でどこまで白い歯にできるのか?
保険の白い歯にデメリットはあるのか?
このコラムでは、その辺りを解説したいと思います。
保険の白い歯の種類と特徴
CR(コンポジットレジン)
虫歯を取り除いた所に直接詰める白いプラスチックです。 「詰め物」と患者さんには説明しているもので、虫歯が小さい場合に使用します。
型取りが必要なく、その日のうちに治療が終わります。
硬質レジン前装冠
金属の被せ物の表面にプラスチックの白い材料を盛り付け、金属が見えないようにした被せ物です。 基本的に、前歯(前から3番目の歯まで)にのみ使うことができます。
CAD/CAM冠
何やら難しい名前ですが、コンピュータを利用して作る被せ物のことで、CAD/CAM冠(きゃどきゃむかん)と呼びます。
CAD=コンピュータを用いて設計。
CAM=コンピュータを用いて製造。
素材は、セラミックとプラスチックを混ぜ合わせた「ハイブリッドセラミック」というものが使われています。 2014年4月から保険適用になりました。
小臼歯(前から4、5目の歯)ではCAD/CAM冠を用いることが多くなってきています。
奥歯も保険で白い歯にできますか?
2014年3月までは、奥歯(前から4番目以降)の被せ物は全て銀歯でした。
CAD/CAM冠が保険適用になった後も、はじめは対応できる技工所が少なく、普及に時間がかかりましたが、現在は4、5番目の歯はCAD/CAM冠が主流になりつつあります。
また、2017年12月からは、条件付きで下顎の第一大臼歯(前から6番目の歯)もCAD/CAM冠が保険適用に、2020年4月からは上顎の第一大臼歯も保険適用になりました。
この条件というのが少し分かりにくいのですが、次の3点です。
第一大臼歯のCAD/CAM冠の保険適用条件
- 第二大臼歯(7番目の歯)が上下左右4本揃っていてしっかり噛み合っていること
- 噛む力が強すぎない、歯ぎしりなどが無いこと
- 被せ物の厚みを十分確保できるぐらい歯を削ることが可能であること
他にも、皮膚科等で金属アレルギーの診断があれば、上記の条件を満たさなくても全ての臼歯にCAD/CAM冠が保険適用となります。
CAD/CAM冠は銀歯よりも歯を多く削る必要があるため、神経を取る処置(根管治療)が必要になることもあります。
保険の白い歯の費用について
以下は3割負担での負担額です。
白い詰め物(プラスチック)の料金
歯と歯の間を含まない場合 | 723円 |
---|---|
歯と歯の間を含む場合 | 933円 |
これらに再診料、歯科疾患管理料などが加わります。
事前に歯をクリーニングした場合にはその料金もかかるので、実際は虫歯を1本治療して2,000円程度、2本なら3,000円程度かかることが多いです。
白い被せ物の料金
硬質レジン前装冠 | 8,634円 |
---|---|
CAD/CAM冠小臼歯 | 7,137円 |
CAD/CAM冠大臼歯 | 7,701円 |
型取りなどを含めた料金です。
(2020年4月改訂)
いずれも、生活歯(神経が残っている歯)の場合はプラス480円になります。
これに、再診料や歯科疾患管理料などが加わり、コア(被せ物のための土台)が必要な場合はさらに1,000円程度加算されます。
治療全体で、大体1万円をちょっと超えるぐらいと考えてください。
(型取りと装着、2回受診の合計負担額)
今銀歯が入っているのですが保険の白い歯に交換できますか?
歯の状態によっては交換が可能です。
というのも、被せ物は、虫歯や根の感染の病名がついた歯に対して行う場合にのみ保険適用となります。
なので、交換を希望している歯が虫歯になっていなければ、保険で交換することができません。
(保険外であれば自由に交換可能です)
ただ、実際は銀歯の内側や境目に虫歯ができていたり、根っこの中が感染していたりするケースが結構多いです。 気になる場合は一度こちらで歯の状態をチェックしてみますので、お気軽にご相談ください。
ブリッジも保険で白くできますか?
2018年4月から、「高強度硬質レジンブリッジ」が保険適用になりました。 白いプラスチックのブリッジで、内部にグラスファイバーの補強が入っています。
ただ、条件が厳しく、適用範囲は狭いです。
高強度硬質レジンブリッジの保険適用条件
- 第二小臼歯(前から5番目の歯)の欠損で、その前後の歯の支えがしっかりしていること
- 原則として、前後の歯(支えになる歯)の神経は取ってあること
- 第二大臼歯(7番目の歯)が上下左右4本揃っていてしっかり噛み合っていること
- 噛む力が強すぎない、歯ぎしりなどが無いこと
金属アレルギーの診断があれば、第二小臼歯以外の欠損でも適用になります。
正直なところ、あまり普及していないのが現状です。
理由としては、次のようなものがあります。
- 適応症が非常に限られている
- プラスチックなので強度に不安がある
- 強度を保つために歯を沢山削らなくてはいけない
- 作れる技工所が限られている
実を言うと、私もこれを作ったことがありません。
何せプラスチックのブリッジですから、割れるリスクが高いですし、割れなかったとしてもずっと使っていると摩耗して噛み合わせが変わってしまう可能性もあります。 現状としては、金属アレルギーがある方に止むを得ず適用するブリッジ、という位置付けで考えている歯科医師が多いと思います。
ちなみに費用は、型取りと装着の2回で、3割負担の場合19,803円(プラス再診料、歯科疾患管理料など)となります。
保険の白い歯にデメリットはある?
CR(コンポジットレジン)のデメリット
CRは全ての歯に適用できますが、強度は他の素材に劣ります。
また、奥歯の歯と歯の間に用いる場合は、欠けたり物が詰まりやすくなる事もあるので、注意が必要です。
硬質レジン前装冠のデメリット
硬質レジン前装冠は金属の裏打ちで補強されているため、付け根の部分(歯と歯ぐきの境目)が黒ずんで見えることがあります。 加齢とともに歯ぐきが下がると、より顕著に目立ってきます。
また、金属を隠すために、光を通さない真っ白なプラスチックの層を引くので、歯の自然な透明感が出ないのが難点です。
さらに、プラスチック系の素材なので、長く使っていると劣化して色がくすんできたり、強度が低いので摩耗したり欠けたりすることがあります。
CAD/CAM冠のデメリット
CAD/CAM冠は金属を使わないので、硬質レジン前装冠のように付け根の黒ずみはありません。 見た目の自然感はセラミックには劣りますが、多少の透明感はあり、そんなに気にならない程度と思います。
ただし、やはりプラスチック系の素材なので、次のようなデメリットがあります。
- すり減って咬み合わせが甘くなる事がある
- 長く使っていると多少劣化して色がくすむ
- 他の被せ物と比べて外れやすい
- セラミックや金属と比べて汚れが付きやすい
特に、第一大臼歯(6番目の歯)に関しては、咬み合わせの要になる重要な歯ですから、CAD/CAM冠にする場合は注意が必要です。 本当にプラスチックの被せ物で良いのか十分検討した上でご提示させていただいています。
保険がきく白い歯のデメリットを解説してきましたが、これらのデメリットを全て解決できるのが保険外のセラミックです。
セラミックなら保険の制約がありませんから、すべての歯に対して適用する事ができます。 強度重視のセラミック、より美しさを追求するセラミックなど種類がありますので、そのケースに最適なものをご提示させていただきます。
セラミックの歯については次のコラムを読んでみてください。
銀歯とセラミック、前歯や奥歯など部位ごとのおすすめをご紹介
セラミックは保険になる?
残念ながら純粋なセラミックは全て保険適用外になります。
ここまででお話ししてきたように、白い素材でもハイブリッドセラミックや高強度レジンは保険適用が拡大してきていますが、これらはレジン系(プラスチック系)の材質であり、純粋なセラミックではありません。
歯科用セラミックには大きく分けて3種類(ポーセレン系、二ケイ酸リチウム系、ジルコニア系)があります。
それぞれの特徴で使い分けるのですが、共通して以下のような特徴があります。
- 歯に性質が近く、破折、摩耗、接着性などあらゆる点で耐久性が高い
- プラークや着色が付きにくく、虫歯や歯周病に強い
- 自然感が高く美しい
- 半永久的に変色・劣化しない
つまり、治療後年月が経つほどセラミックのメリットが出てきます。
当院のコンセプトの一つである「本当に長持ちする治療」という点では、保険外セラミックが圧倒的に有利です。
とはいえ、保険内の材料も決して悪いものではないので、十分なカウンセリングのもと、患者さんのニーズに最も合った治療をご提供できるよう、じっくりとお話させていただこうと思います。
お電話の前にご確認ください
おかげさまで多数のご予約・お問い合わせをいただき、大変ありがとうございます。
東京の方からご予約のお電話をいただくことが多いのですが、当院は福岡県の「六本松」にある歯科医院です。
おそらく東京都港区の「六本木」と勘違いされたのではないかと思います。
東京から来ていただけるならとても嬉しいですが、患者さんに移動時間・交通費など多大な負担をかけてしまいます。 お近くで歯医者さんを探してみてください。